どこにもない

いえーい

欲深

誰とどれだけキスをしても、抱きしめあっても、セックスをしても足りなかった。満たされることのない心は飢餓を訴え続け、わたしのコントロールではもうどうにもならないレベルにまで達していた。睡眠を貯蓄できないように、愛欲もまた、貯蓄などできないのだ。知れば知るほど身体は求め空っぽを埋めようと心を欲しがる。埋まらないそれを無意味なもので塞いで空洞ができ、空洞が崩れまた塞いでの繰り返しだ。わたしはあなたの吐き出したものを食べて生きている。棄ててしまった昨日を取り戻すように、わずかなものをかき集めぎりぎりで呼吸をしている。あなたにはなにもわからないでしょう?あなたみたいになりたかっただけなのよ。真似事は偽物でしかないの。わたしはわたしを棄て、あなたというわたしを作ってしまった。わたしは自分が誰かわからないけれど、あなたが知っていてくれるなら、それで幸せなのよ。