どこにもない

いえーい

waiting

朝を待っています。目を閉じれば眠ってしまいそうな温度がそこにはありました。外は真っ暗でかすかな音すら聞こえません。私は考えます。ここには何もないけれど、あなたが帰ってくることによって何かが生まれるそれは、それはとてもあたたかくて優しいもの。今は冷たく無機質なこの部屋もどうしようもない気持ちも悲しみも、あなたが帰ってくるだけで全て救われると信じていました。否、信じる信じないの類ではないことを薄々勘付いてはいましたが、気付いてないフリをしました。私は考えます。このまま目を閉じてしまったら、もう多分あなたには会えないのだろうと。人は無知です。そして無知だということすら知りません。無音の部屋に貨物電車の走る音が聞こえます。もしあなたを連れてきてくれたなら、したいことは山ほど在るのです。伝えたいことは海のように在るのです。コップに注いだ水が溢れるように、私の心からだばだばと沢山の感情がこぼれていきます。私は、待つことでしかあなたを守れないのです。