どこにもない

いえーい

ろぼっとにんげん

わたしは機械のように相槌をうち、あの子に耳を傾ける。あの子にはあの子の世界だけがすべてなのだ。いくら他人が割って入ったところであの子の中の炎は消えることはない。ほこりまみれの身体を撫でながら想う。白痴になるまえにキスをしよう。死ぬまで踊り続けよう。わたしたちはひとりではないよ。きっと大丈夫さ。 「自分が誰か分からなくなることがあるの。お酒を浴びるみたいに飲んで、得体も知れない男に抱かれても、嫌じゃないの。わたしの身体がわたしの身体でないみたいに感覚がないの。だからいつも痛みを感じていたい。わたしの中でそれだけが確かな感覚なの。快楽も心地よさも良いとおもわない。そもそもその感覚がわからないのだから当たり前なんだろうけれど。痛みだけがわたしを救ってくれる。傷みだけがわたしをここにいさせてくれる。狂ってるなんて下らないこといわないでね。他人の価値観なんてただのエゴイズムよ。わたしは、たくさんの人に、たくさんの言葉をもらったわ。どれもこれも大切だった。だけどもうガラクタみたい。無性に、むなしくなる瞬間があるの。待てども待てどもわたしの中のものは消えてくれなくてとても苦しいの。何かしてほしいとか、そういうのを求めてる訳ではなくて、ただむなしいの。」